寺小屋
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寺小屋ブログ

価値観変動の時代

寺小屋塾長の久本です。

15年前のブウログ記事、加筆修正シリーズ。今日は前回の続きです。

先日、二人の但馬人が東大の原型を作ったという話を書きました。

「何を今さら、100年以上も前の話を。時代が違うよ。」
という声が聞こえてきそうです。でもそうでしょうか?

世の中が安定していて、変化が乏しい時代なら、一つの価値観が世の中全てを支配しますから、その価値観やコースから外れた人が世に出ることは、難しいでしょう。

 加藤博士も浜尾博士も、あと50年早く生まれていたら、地方の小藩の下級武士出身の二人が、日本最高学府の頂点に立つことなど、ありえなかったに違いありません。
 でも二人が生まれたのは価値観の激動の時代。それまで絶対といわれてきたものの価値が急速に衰えていった時代です。そんな時代にあって、彼らは、長州と薩摩の出身者が政治の世界の顕官を独占していく合間を縫って、教育の世界で名を成したのです。

 そして現代も、皆が拠りどころにする価値観、確かな安心を求めてもがいている、価値観流動の時代だというのは、みんな感じていることだと思います。

  受験生やその親御さんからも「東大に入りさえすれば何とかなる」という東大神話にしがみついていたい。大学のブランドが幸せの保証にならないなんてこと、受け入れたくない。そんな心の呟きが聞こえてきそうです。

 でもそんな思いは、もしかすると江戸時代末期に、名門旗本の息子に生まれ、放っておいても将来の安泰が約束されていたはずの特権を、奪われそうになっていた人たちが感じていた焦りと同種類のものかもしれません。

 価値観激動の時代に自分のが実現できるかどうか。それは、先入観や固定観念にとらわれず、「志」を持ち続けることが出来るかどうかにかかっていると思っています。